- ニキビの治療に使用される抗生物質の種類
- どんなニキビの時に抗生物質を使うのか
- ニキビに抗生物質を使用する際の注意点
あなたはどのニキビ?ニキビの種類を解説
ニキビはこの4つに分けられます。上から順に初期段階の軽いニキビで下に行くほど症状が進行しているものです。
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1. 白ニキビ(閉鎖面皰)
2. 黒ニキビ(開放面皰)
3. 赤ニキビ(紅色丘疹)
4. 黄ニキビ(膿胞)
白ニキビは毛穴の出口が詰まってしまい、皮脂が溜まっている状態で、また炎症が起きていないものです。黒ニキビはこの白ニキビの原因となっている皮脂や古い角質が酸化して黒くなっているもののことをいいます。
さらに、白ニキビが悪化するとアクネ菌が繁殖し、炎症を引き起こしたものが赤ニキビ。赤ニキビが悪化すると膿を持つ黄ニキビになるという流れです。
第1段階:白ニキビ(閉鎖面皰)
白ニキビは毛穴の中の出口が詰まってしまい、皮脂が溜まっている状態のことをいいます。皮脂が溜まって盛り上がりができるというのが特徴で、まだ白く、炎症は起きていません。
痛みやかゆみのような症状はありませんが、そのうち治るだろう、と放置していると症状が進行してしまうかの背うがあります。
第2段階:黒ニキビ(解放面皰)
白ニキビが進行すると、毛穴に詰まっている皮脂や古い角質が参加することで黒くなります。これを黒ニキビと呼びます。
これも白ニキビと同様に炎症を起こしているわけではないので、痛みやかゆみはありません。ただし、黒くなると余計に目立って気になるという方が増えてきます。
第3段階:赤ニキビ(紅色丘疹)
白ニキビが悪化すると、アクネ菌が繁殖して炎症を引き起こした赤ニキビと呼ばれるものになります。この段階になると、痛みやかゆみを感じることもありますし、目立つようになってきます。
第4段階:黄ニキビ(膿疱)
赤ニキビが進行してしまうと、アクネ菌だけでなく黄色ブドウ球菌までもが繁殖して膿が発生する黄ニキビになります。赤ニキビと同様に嫌みやかゆみを感じることがあります。
黄ニキビの周囲の組織が傷ついているので、炎症が収まった後にもニキビ跡のようになってしまうことが多いです。
ニキビの治療でどんな時に抗生物質を使うの?
ニキビが赤ニキビや黄ニキビといった炎症を起こしてしまっている状態の時に抗生物質を使用して治療を行います。
また、ニキビ全体の重症度が中等度以上の場合に使用されますが、場合によっては軽傷の時に使用されることもあります。基準はこのようになっているので参考にしてみてください。
- 軽症:片顔に炎症性皮疹が5個以下
- 中等症:片顔に炎症性皮疹が6個以上20個以下
- 重症:片顔に炎症性皮疹が21個以上50個以下
- 最重症:片顔に炎症性皮疹が51個以上
炎症性皮疹は尋常性挫瘡治療ガイドライン2017の中でこのように書かれています。
痤瘡に見られる紅色丘疹と膿疱(およ
び紅暈,紅斑)を包含する
簡単に言うと赤みのあるニキビや黄ニキビのことです。
ニキビにはどんな抗生物質が使われる?
テトラサイクリン系
- ・ディフェリンゲル(アダパレン)
・ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
・ミノマイシン(ミノサイクリン) など
ニキビの治療に使われる抗生物質にテトラサイクリン系のものがあります。特にディフェリンゲル(アダパレン)は聞いたことのある方も多いでしょう。
アダパレンは尋常性挫創治療ガイドライン2017の中でこのように記載されています。
炎症性皮疹(軽症から重症)に,アダパレン 0.1%ゲルを強く推奨する.
炎症性皮疹、つまり、赤ニキビや黄ニキビに対して使用することが強く推奨されている抗生物質です。また、これと同様にドキシサイクリンやミノサイクリンもこのように記載されているので、ニキビの治療に高い効果を期待できるでしょう。
炎症性皮疹に,ドキシサイクリン内服を強く推奨する.
炎症性皮疹に,ミノサイクリン内服を推奨する.
ミノサイクリンはドキシサイクリンと比べて、同じような効果は見込めるモノの副作用の可能性が高くなるので少し推奨度は落ちてしまいます。
マクロライド系
- ・クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
・ロキシスロマイシン - ・ルリッド など
マクロライド系の抗生物質には上記のようなものがあります。ロキシスロマイシンやクラリスロマイシンは尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017の中で炎症性皮疹の治療に使用を推奨されています。
炎症性皮疹に,ロキシスロマイシン内服を推奨する.
炎症性皮疹に,クラリスロマイシン内服を選択肢の一つとして推奨する.
これらは赤ニキビや黄ニキビの治療に使用を推奨されているものですが、先ほどのドキシサイクリンなどよりは推奨度が落ちてしまうものになってしまいます。
セフェム系
- ・セフゾン
- ・バナン
・フロモックス など
セフェム系抗生物質は比較的安全性が高く、抗菌力も高いのでニキビの治療に効果があるでしょう。
しかし、耐性菌があり、種類によっては効果がないものもあります。副作用として肝機能障害や胃腸障害があるので適切な用法・用量を守り、医師の指示に従うようにしましょう。
キノロン系
- ・アクアチム(ナジフロキサシン)
・ゼビアックス(オゼノキサシン)
・クラビッド - ・ダラシン(クリンダマイシン) など
アクアチムやゼビアックス、クリンダマイシンはよく見る薬だと思います。これらはニューキノロン系の外用薬で尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017の中でこのように記載されています。
炎症性皮疹に,外用抗菌薬(クリンダマイシン,ナジフロキサシン,オゼノキサシン)を強く推奨する.
赤ニキビや黄ニキビの治療に対して高い効果を期待できるでしょう。
ペネム系
- ・ファロム など
ファロムは細菌の細胞膜にあるたんぱく質に結合することで合成を阻害するので殺菌作用があります。
基本的に妊娠中や授乳中は避けるのがベストですが、比較的安全な薬なので妊娠中に処方されることもあります。
また、ファロムは他の薬との相互作用が少なく、ニキビの治療以外に今飲んでいる市販の薬があればそれとも併用ができるでしょう。ただし、てんかんや高血圧などの一部の疾患がある場合は事前に医師に伝えておくようにしてください。
抗生物質の効かないニキビもある!
抗生物質は赤ニキビや黄ニキビには効果がありますが、白ニキビには効きません。抗生物質の役割として、アクネ菌を殺菌したりして抑制させる働きがあります。
そのため、赤ニキビや黄ニキビのように炎症を起こしているものには効果を発揮しますが、ただ毛穴に皮脂や古い角質が溜まっている状態の白ニキビには効果がないというわけです。
ニキビに抗生物質を使う際の期間はどれくらい?
ニキビに抗生物質を使用する期間は大体1か月から3カ月程度になります。適切な頻度を守らなければ耐性菌ができてしまい、効果が薄れてしまうので医師の指示に従い、長期間使用しないようにしましょう。
ニキビに使う抗生物質の注意点
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・倦怠感や眠気やかゆみを感じることもある
・飲み合わせが悪い薬がある
・下痢や肝障害などの副作用がまれに起こる場合もある
抗生物質はニキビの原因となる菌を狙い撃ちできるわけではなく、それ以外の菌にも影響を与えてしまいます。
軽度なものでは下痢や腹痛などの症状が出たりしますが、もっとひどいものだと肝障害などの原因になる可能性もあるので注意が必要です。
医師の指示に従い、用法・用量を守って正しく服用するようにしましょう。万が一体に不調が出た場合はすぐに医師に相談して指示を仰ぐようにしてください。
ニキビを治すために日常でできること
紫外線からの保護
紫外線から肌を守るために日傘や日焼け止めを使用するようにしましょう。
紫外線を浴びると、肌のバリア機能が低下してしまいます。肌のバリア機能が低下すると水分バランスが乱れ、乾燥してしまうので、皮脂が過剰に分泌。ニキビができやすくなってしまうんです。
そのほかにも、肌のターンオーバーが乱れたり、外部から細菌などの異物が侵入しやすくなるなど、ニキビの原因が増えてしまうので紫外線対策を怠らないようにしてください。
日焼け止めはこまめに塗りなおすことが必要です。2時間~3時間おきに塗りなおすようにしてください。クレンジングなどでしっかりと日焼け止めを落とすことも重要です。
丁寧に洗顔する
ニキビを改善するためには洗顔のやり方も大切です。皮脂を落とそうとして顔をこするように洗ってしまうと、肌に必要な皮脂まで洗い流してしまうので、肌が乾燥してしまいます。
そのため、洗顔料をしっかりと泡立ててやさしくなでるように洗うようにしましょう。その際、使用する洗顔料は洗浄力が強すぎないものを選ぶといいです。
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・熱すぎるお湯で洗顔する
・ごしごしと洗う
・洗顔に時間をかけすぎる
・一日に何度も顔を洗う
熱いお湯で洗ったり、ごしごしと洗うことは必要以上に皮脂を落として肌を乾燥させたり、肌のバリア機能を低下させることにつながります。洗顔後にしっかりと保湿をすることも重要です。
十分な睡眠時間の確保
ニキビを治すためには十分な睡眠時間を確保することが大切です。肌が受けたダメージは寝ている間に回復しますが、その際に重要な役割を果たしているのが成長ホルモンです。
この成長ホルモンは寝ている間に分泌されるので、しっかりと睡眠時間を確保できていないと、成長ホルモンが分泌されません。
その結果、肌のターンオーバーのサイクルが乱れて古い角質が剥がれ落ちずにニキビができやすくなるというわけです。
十分な睡眠時間の確保と質のいい睡眠(ノンレム睡眠)をとれるように日ごろから意識しておくと良いでしょう。十分な睡眠時間を確保できないという場合でも、質のいい睡眠がとれるような工夫をしてくださいね。
しっかり保湿をする
お風呂上がりなどの肌が乾燥しやすくなっているときに、化粧水や乳液、保湿クリームを使ってしっかりと保湿しましょう。肌が乾燥するとバリア機能が低下したり、皮脂を過剰に分泌させたりしてしまいます。
べたつきが気になるという方は乳液などのべたつきが少ないタイプの保湿商品を使用するといいです。「ノンコメドジェニック」と書かれている商品を使用するのもおすすめです。
また、保湿する際にもやさしく塗り広げるようにして、肌への刺激を極力減らすようにしてくださいね。
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